国際ニュース部に入って三年目になる中山です。先日初めて「おはよう日本」(NHK総合)内の『ワールドリポート』というコーナーで少し長めの記者リポート(現地取材報道)を編集しました。そのことについて書きたいと思います。
普段のニュースをつくるとき、おおまかな流れとしては、担当するニュースの項目がきまる→映像素材をみる→原稿を確認→編集といった順番で、完成までにかける時間は短くて1、2時間、長くても半日くらいです。リポートになると、構成案をもらう→映像素材をみる→編集。大きな違いは原稿がないこと、完成まで2日かける、というところです。
やってみての感想としましては、リポート制作は楽しかったです。もとになる原稿がないため、インタビュー等通訳の人に聞いてもらいながら、ディレクターと一緒に構成していくのですが、映像素材のどの部分を使うのか、自分で提案できる幅が大きかったです。
「先にこっちの話をしてから次にこっちに展開して」というように、より自由度の高さを感じました。
ただ、面白いと感じたのと同時に、アイデアや提案の引き出しがまだまだ少ないことが反省点にもなりました。
肝心の記者リポートの内容ですが、今カンボジアの民主主義が危機にさらされているという話でした。カンボジアの首相が独裁色を強めており、最大野党の党首を逮捕したり党自体を解党したりしているのです。友人らにカンボジアのイメージを聞いてみたところ、出てくるのはアンコールワットくらい。私も入社するまではそうだったと思います。
逮捕された野党党首の娘さんのインタビューを聞いてみると、日本の話題があり、そこに多くの時間を割いていました。「日本の貢献に期待している」という内容で、なぜそんなに日本?と疑問に思ったのですが、そこにはきちんとした背景がありました。
過去に日本はPKOの一環としてカンボジアで活動しています。ポル・ポト政権の崩壊後、日本はカンボジアの民主化に深く貢献しており、そこには民間人の犠牲も伴っていたのです。カンボジアPKOの中で命を落とされた方がいたことを私は初めて知りました。そのような犠牲を払いながら築き上げられてきたカンボジアの民主主義がふたたび脅かされている、これは遠く関係のない国の話では決してありません。
今回は初めてのリポートということで、先輩についてもらいながらの制作だったのですが、もらったアドバイスで印象的だったことは、「ドキュメント感」を大切にするということです。先に出てきた野党党首の娘(現在はアメリカで活動中)に取材しているのですが、○○してもらうシーン(父親の写真を見せてもらう、インタビューに答えてもらう、など)ではなく、彼女が能動的に○○しているシーン(議会の公聴会へ向かう、カンボジアの母親に電話をかける、など)を大切にすることです。
そういう部分を、1カットでもいいから加えれば密着同行している感じが出せるということです。そうすることで淡々とした印象を脱して、視聴者の興味を引きつけられる、とアドバイスしてもらいました。リポート全体の持ち時間との兼ね合いで、すべてを使えたわけではないのですが、こういう意識の持ち方を教わったのは、私としてはとても大きな収穫だったと思います。
今回のリポート制作でまだまだ知らないこと、知っておかなければいけないことがたくさんあることに気付かされました。編集をして、試写して議論して、また編集を直して・・・・を繰り返してよりよいものを皆で作り上げていく現場感も感じることができました。結論を言うと!大変ためになりました。またやりたいです。